吸血鬼の願い

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私は太陽の下を歩けない
灰になるから
でも、どうしても生きたくて、魔女に頼んだ
「これを飲めば条件付きで灰にならずに済むよ」
「これで人の暮らしが出来るわ、ありがとう!あ、代金は……」
「ああ、代金ね、それはもう貰ってるから」
魔女は必要ないというように手をヒラヒラとさせた。
しかし、払った覚えの無い少女の顔には疑問符が浮かんでいる。
「そういうことだから、人間暮らしを楽しんできな!」
すると、半ば強引に話が終わり店から追い出された
その後はグルメにショッピング、観光、と日常を満喫していて、月日が経ち、二十歳を迎えた頃には想い人も出来ていた。
そして月明りが優しく包む海岸で告白したその日、良い返事を貰え、幸せに心が満たされた時だった。
何故過去系なのか、それはその瞬間灰になって消えたから。
「灰にならない条件は好きな人と両想いにならない事」
灰は魔女の小瓶の中に、それこそが代金だった。
その他
公開:20/03/29 15:59
更新:20/03/29 16:00

癒月連理( 岩手 )

2020.3.16にこの場所を見つけて、長文を書くのが苦手な私でもショートショートなら挑戦できるかなと思い、投稿を始めました。

このショートショートガーデンで書くことの楽しさを知る事ができました。
自分なりに色々文章を模索していきたいと思います。
作品を読んで気になった事がありましたら、是非コメントをお願いします、厳しいコメントもお待ちしています。

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