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誕生日の翌朝のことだ。僕は死んだ。車に轢かれて、死んだ。

僕は、躰の中から抜け出して、宙を浮いている。斃れて動かなくなった僕を抱きかかえようとしている人が見えた。
僕は、棒のように真っ直ぐだった。靴を履いていなかった。目を閉じていた。血は出ていなかった。眠っているようにも見えた。

僕は、そのまま翔んで家へ帰る。壁を突き抜けてリビングに入る。父と弟が炬燵で寝そべってTVを見ていた。
どうやら何も知らないようだった。母の姿は見当たらない。何処へ行ったのだろう。僕は声を出すことが出来ない。

母を探しに行こう、早く…そう思ったところで、目が醒めた。嗚呼、夢だった。こんな夢を見るのは初めてだ。

自分が死ぬ夢を見るのは吉兆だ。飛躍を暗示している。誕生日の後だから、きっと尚更だ。

僕は、窓の外を見る。大粒のぼた雪が降っていた。春なのに珍しい。咲いたばかりの桜に積もって、葉から雫がそっと落ちた…
その他
公開:20/03/29 15:28
更新:20/04/02 10:55
夢日記 桜の花 春の雪

白ねこのため息( あちらこちらにいます )

2019年9月14日から参加いたしました。
しみじみとした後味や不思議な余韻が残る作品を目指しています。
どうぞ宜しく…。
ちなみに、写真は一部を除き、全て自分で撮影したものです。併せてお楽しみ下さい。

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現在、資格取得(英検1級など)の勉強中のため、投稿ペースが落ちていますが、
これからも引き続きご愛顧のほど、何とぞ宜しくお願いいたします。ペコリ。
 

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