すてきな屋根

雨がふると信号待ちのときには歩道橋の下にいる。
そこに小紅市はフェンスを立てて入れなくしてしまった。
歩道橋のスロープのある歩道は狭く、その空間がなくなると通りづらくもなった。
「フェンスがないほうがよかったのに」町の道は所々、かけている部分もあり、直すのに何年かあとになるという。なぜフェンスだけ早急に設置したのか。
町に住むノリコは工夫屋だ。
かわりに歩道橋の横に簡単なアーケードを作った。そして、まだフェンスのない歩道橋の下にはきれいなペンキを塗り、椅子をおいた。何度か、椅子を盗むひとがいたが、そこを目当てに人々が集うようになった。
小紅市はあそこにいくと、悪いことが起こると密かに嘘の噂を流したが、あまり効果はなかった。

そんなこんなで、あのフェンスもなくなった。歩道橋の下は静かな空間にもどった。
小紅市は卑劣なやり方を改め、もう人々に意地悪い町にしないと約束した。