チョコレートクライシス

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シベリアの永久凍土が気候変動による温暖化で急速に解けだした。
永久凍土の地下深くには茶色の地層があるのだが、実はチョコレートで出来ていた。
ロシア科学アカデミーの研究者が極秘裏に調査したところ、氷河期の地層ということが判明したものの、チョコレートである理由は皆目わからない。
凍って固かったチョコレートの地層も解けだして液体に変わり、茶色い地下水となって地上の泉に湧き出てきた。そして川に流れ、北極海に注いだ。その結果、チョコレートによって海水も北極の氷も白クマもアザラシも茶色く染まった。
さらに北極海から蒸発した水によってチョコレートの雨が降り、その雨が地中に吸収されて再び川に流れ、北極海に注ぐ循環が出来上がった。
ロシア政府は、巨大なチョコレートファウンテンを何本も建てて雨の消費に努めたが、チョコレートの食べ過ぎで虫歯や激太りする人たちが急増し、気候変動には抗えない危機的状況が続いている。
その他
公開:20/03/29 06:40
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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