肉まんスイッチ

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「何か温かいものでも食べる?」
彼はコンビニを指差して言う。辺りはすっかり暗くなって、寒さを感じていた私はその意見に賛成した。
「あんまんが食べたいなー」
「えー、俺、肉まんがいい」
高校生の私たちは自由に使えるお金が少ない。だから結局、片方しか買えない。
彼は肉まんをひとつ注文した。まあ、前回は私の意見を通してもらったから仕方ないかな。思いながら見ていると、
「大丈夫、あんまんも食べられるから」彼はそう言いながら、小さなスイッチを肉まんに取り付けた。照明のオンオフに使うやつ。
「なにそれ?」
「これ、いろんなものの中身を切り替えられるスイッチなんだ」
ぱくり。一口頬張った後でスイッチを切り替える。
それをもらった私は少しドキドキしながらかじる。
甘い! あんまんだ。これができるなら最初からあんまん買ってくれても良かったのに。
一瞬浮かんだ思考は、彼の満足そうな笑顔で書き消されてしまった。
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公開:20/03/28 23:34

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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