時計のつぶやき

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数年ぶりにスイスから帰ってきた俺は日本の空気を思いっきり吸い込む。
迎えに来た両親の車に乗り込むとスイスでの土産話に花を咲かす。
家に帰ると親族一同が俺を迎えてくれた。そんな中ただ一人、曾祖母だけはつまらなそうに鼻を鳴らした。
俺は曾祖母にとっておきのお土産を渡した。
それは俺が幼い頃に曾祖母から貰った曽祖父の時計。見た目のカッコ良さからどうしても欲しいとねだって貰ったものだ。ただ残念な事に時計は壊れていて動かなかった。
その時計を直す為に俺はスイスにある時計職人の専門学校に進んだ。
24時間時計漬けの毎日は辛かったが、俺はついに曽祖父の時計を直す事が出来た。
「何だい、こいつはまだくたばっていなかったのかい」
曾祖母が悪態をつくとカチカチと鳴っていた時計の音がチッチッチッという音に変わった。
「私を小馬鹿にする態度もあの人そっくりだね」
曾祖母は優しく微笑むと時計をそっと撫でた。
公開:20/03/30 18:50
更新:20/04/01 19:13

どんぐり三等兵

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。

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