色眼鏡

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「ぴ~ひゃらどん ぴ~ひゃらどん」
春のお囃子――笛や太鼓の賑やかな音色が聞こえてくる。
すると、リズミカルな音に合わせて桜の色に似た薄ピンクの空気が漂ってきた。
広場でお祭りをやっているようだ。
今度は、言い争う怒鳴り声が聞こえてくる。
すると、激しい波動になって赤色の空気が漂ってきた。
隣近所で夫婦喧嘩をしているようだ。
また、いたずらをした子供を叱る親の声が聞こえてきたときは、まさに雷が落ちるというように、稲妻のようなギザギザの形をした黄色い空気が漂ってきた。
また、カラスの鳴き声が聞こえてくると、黒い空気が漂ってきた。
実は先日、路地裏にある不思議な雑貨店で見つけた眼鏡を掛けているせいだ。この眼鏡を掛けると、さまざまな音色が、その雰囲気に合わせて色が付き、空気を読める。
ただ、この眼鏡、牛乳瓶の底のような眼鏡でレンズが分厚い。だから、掛けていると周りから色眼鏡で見られてしまうのだ。
その他
公開:20/03/30 07:15
お囃子 太鼓 音色 広場 お祭り 眼鏡 牛乳瓶

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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