隣室の女

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彼女は突然やってきた。
「あの、コシヒカリをお持ちじゃないですか?」
「えっと、あなたは?」
「すみません、隣に住んでいるものです」
「ああ、そうですか」
何となく見覚えがあるような気がした。
「それで、コシヒカリってお持ちですか?」
「持ってますけど……」
「もしよろしければ少し貸してもらえませんか?必ず後日返しますので」
「どういうことですか?スーパーに売ってるでしょう」
「実は急に義母が家に来まして……。あの人コシヒカリしか食べないんです。今からスーパーに行くと常備してないのがバレるし……。用意しないとまた……」
「まあ分かりましたよ。持っていってください」
俺は彼女が持つ計量カップにコシヒカリを入れて渡した。

それから数日後、彼女が逮捕されたという噂を聞いた。
今思えば、明らかにおかしな要求だった。
あれは彼女からのSOSだったのか、それとも。
その他
公開:20/03/29 22:09
レンタルコシヒカリ

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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