花鳥風月 其の弐〜鳥

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会社での雑談中、それぞれを鳥に喩えたらという話になった。
温厚で知的な支店長はフクロウ。
バリバリ営業マンの近藤さんはタカ。
紅一点のちまちました里奈さんはスズメ。
「じゃあ俺は何になるんすか」
すると俺の専属怒突き係の野森さんが言った。
「けっ、おまえみたいに始終惚気てる奴は『ご機嫌トリ』だよ!愛しの彼女のな」
部屋中が爆笑に包まれる。

「…て言われてさ。ちぇっ」
家に帰って彼女のメシを食べながらそう話すと、彼女はケラケラと笑った。
「別にいいじゃない。そのかわりちゃんとごはんも作ってあげてるし。あ、オシドリ夫婦って言うよね…って、まだ夫婦じゃないけど」

いや、実は俺もさ。
そう言い返してみたんだ。
そしたらニヤリと笑って支店長が言うんだよ。
「オシドリって一年ごとに相手変えるんだぞ、沖田」
—でも嬉しそうな彼女にはとても言えず、曖昧に笑った俺は、緩くなったビールをぐっと飲み干した。
青春
公開:20/03/28 10:00
更新:20/03/29 19:17
勝手に花鳥風月シリーズ開催 #2 鳥 鴛鴦(おしどり) 惚気(のろけ)

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

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