自転車

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その日に限っては約束もあり遅れるのは許されない。
遅くまでSSを考え込んでて寝過ごしてしまった。電車に遅れまいと走って駅に向かったが途中でしんどくなった時、後ろから誰も乗っていない小さめの自転車が来て「早く僕に乗って」と言った。
これは助かったと、カバンは前籠に入れてペダルを全力で漕いだ。
お陰で駅に間に合い、何処に駐輪しようかと迷っていると自転車が「僕一人で帰れるから、ここでバイバイ」と言って勝手にUターンした。
慌てて「有難う」と言い改札に急ぎ、入って来た電車に滑り込んだ。
車内で少し落ち着き、あの自転車は何だったのかな、初めて乗った気はせずスイスイ走れた。でも小さかったなと思った瞬間思い出した。

小学校の頃、親に頼んでやっと買ってもらえた自転車だ。
高校になり大人の自転車に乗り換え、前の自転車を親戚の子にあげた。
その自転車だ、間違い無い。座り心地もハンドルの感じも同じだったと。
ファンタジー
公開:20/03/27 19:46

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