便りがない事が何より

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『皆、元気にしとるか?儂は天国で婆さんと一緒に楽しく過ごしている。そっちはどうだ?』
『皆、元気そうで何よりだ。写真はこの前婆さんと一緒に桃源郷で桃狩りをしてきた時のものだ。楽しかったぞ』

「天国のお爺ちゃん、最近よく手紙をくれるね」
「そうね。でも便りがないのが一番なのよね…」
「どうして?ママはお爺ちゃんからの手紙嬉しくないの?」
「その手紙、死神が運んできてくれるの。そしてその死神がここによくやってくるという事は、この付近でまた人が死ぬって事なのよ」
「お~い二人とも、早く引っ越しの準備を終わらせるんだ」
「ほら、パパもああ言っているし、早く作業に戻りましょ」

僕が何気なく見上げた空はこれからの怪しい雲雪を表すかのように真っ黒だった。
目を凝らしてよく見ると雲の中には襤褸をまとった死神が何人も宙に浮いていた。
死神は僕に近づいて手紙をくれた。

『儂は皆を天国で待っているぞ』
公開:20/03/27 18:40

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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