森のケーキ屋さん

4
5

森迷町のケーキ屋さん、そこのバームクーヘンは一番人気でなかなか買えない事で有名だ。しかし、俺にはそれを絶対に買わねばならない理由がある。
「今日こそは絶対に……」
そう自分に言い聞かせながら樹車を降りる、するとホームは濃い霧で覆われていた。
この森迷地区、一説には住人以外は迷ってしまって目的地に辿り着けないと言われているのだ。
「大丈夫、お店には取り置きを頼んだし、高い方位ランタンも用意したんだ、行ける!」
この地区必須の方位ランタン、魔術師の術と妖精の加護でもって作られた目的地に着くための道具だ。ランタンを灯して俺は足早に店に向かう、間に合ってくれよ……と数十分、やっと着いた。
「すみません、取り置きを頼んでいた竜木ですが、バームクーヘンは……」
店員さんはにこやかに、ラッピングされた商品を渡してくれた。会計を済ませ、駅に急ぐ、子供の喜ぶ顔を見るために。
その他
公開:20/03/27 17:18
更新:20/03/28 11:42

癒月連理( 岩手 )

2020.3.16にこの場所を見つけて、長文を書くのが苦手な私でもショートショートなら挑戦できるかなと思い、投稿を始めました。

このショートショートガーデンで書くことの楽しさを知る事ができました。
自分なりに色々文章を模索していきたいと思います。
作品を読んで気になった事がありましたら、是非コメントをお願いします、厳しいコメントもお待ちしています。

キシャシリーズ
キシャとカイシャと異文化交流
海の家、森のケーキ屋さん
化かされたキツネ
玻璃屋綺談

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容