降れよ、夕立(4/5)

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こいつは、大胆だな。
「ただいま〜」
雨宿りすると言って連れて行かれたのは、彼女の住むアパート。
「お帰りー、びしょ濡れでしょお」
タオルを一枚もって、玄関に慌ててやってきたのは、娘とおそろいのショートヘアが似合う母親だ。
「あら、翔くんもびしょ濡れじゃない。これで体、拭いて。ゆきのも持ってくるから」
お互い多少戸惑いつつも、僕はタオルを受け取った。
「あ、ありがとうございます」
居間に続く廊下の角から、へへへと小さな笑い声が覗いた。
「何笑ってんの、ったく」
雪が嗜めたのは、弟だろう。突然の来客の様子をのぞいて満足したのか、奥へ帰って行った。突然の雨と来客で、ドタバタしているうちにシャワーを借りることになった。
「弟のトランクスだけど入りそうだよね。タオルも新しいの置いとくから使ってね」
「ありがとうございます」
奥で娘と母親が何やら話しているようだが、降り続く雨の音でよく聞こえない。
青春
公開:20/03/27 16:53
更新:20/03/31 15:08

蒼井 一

『日本語の美しさを体感したい、体現したい』
物語が好きです。よろしくお願いします。

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