降れよ、夕立(2/5)

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小松雪は、わかりやすい。
「顔に書いてある」
へへと彼女は笑う。僕はハンドルを握り自転車の鍵を外す。彼女は、缶ジュース片手に自転車の鍵を外す。
「じゃあ、また学校で」
「まって、一緒に、、あー!」
半漕ぎしたあたりで、ブレーキをかけ振り替えると、ガシャンと音を立てて、彼女の自転車が倒れた。
「何してんの、ドジだな」
へへと小松雪は笑う。彼女は、缶ジュース片手に自転車を立て直そうとするも、あきらかにもたついている。僕は、親切でもないが、冷酷でもない。だから、今日の有志の地域イベントも参加することになってしまった。呆れて天を仰ぐと、さっきよりも雲行きが怪しくなっている。
「雨降りそうだから、急いで」
自転車を降りて、手を貸す。
「はい」
「ありがと」
彼女は残りの缶ジュースを飲み干し、駆け足でごみ箱に捨てに行き、駆け足で戻ってきた。
「よし、帰ろー」
僕らの行き先は一瞬光り、雷の音がした。
青春
公開:20/03/27 14:16
更新:20/03/29 13:56

蒼井 一

『日本語の美しさを体感したい、体現したい』
物語が好きです。よろしくお願いします。

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