消えた家

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いつも同じ町内の散歩で見慣れた景色ばかりだから、その日は隣町まで足を伸ばしてみた。
偶然通りかかった道筋の奥に宅地造成中か、沼地みたいな所に何十台ものダンプカーが並び埋め立て作業をしていた。
なるほどここからなら駅にも徒歩圏だし不動産屋も考えたなァと思った。何ヶ月後かにまた現地を通るといつのまにか素晴らしい家がすでに数軒建てられていた。
凄いなと思いつつ帰宅したが、1週間後に新聞のチラシにそれと思しき住宅が売り出されていた。
暫くして行くとすでに完売か、人も住んでおり布団も干してあったり、楽しそうに庭木や花壇の手入れしている人達もいる。

ある日新聞を読んでいて、その記事に驚いた。
あの住宅が一夜にして忽然と消えてしまい、昔の沼地に戻っていると。警察や消防隊が出動し捜索しているが手がかりが一切掴めていないと。

あそこには昔、河童が住んでいた沼だと言う伝説が聞こえてきた。
ミステリー・推理
公開:20/03/27 13:22
更新:20/03/27 15:33

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