時計のつぶやき

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「刑事さん。確かに俺は事故を起こした。だけど飲酒運転はやっちゃいねぇ、信じてくれ」
とある交通事故が起こった翌日、車を運転していた男が出頭してきた。
警察としてはこの男が酒を飲んで車を運転し、その結果事故を起こしたのではないかと疑っている。
だが一夜明け、男の呼気からは完全にアルコールが抜けてしまっている。これでは立証のしようがない…
「警部。男の飲酒運転、立証できるかもしれません」
「何っ?本当か?」
「ええ、あの男の腕時計を見てください。あれは会話の出来る最新式のAIを搭載した腕時計です」
私か首を傾げる。だから何だというのだ?まさか腕時計が飲酒運転を立証するのか?

「彼は昨日、どれだけお酒を飲んだ?」
部下は腕時計に質問した。
『ビール10杯、日本酒一合、チューハイ17杯、です』
男が青ざめる。我々は怒りで顔を赤くした。
今回の事件、腕時計が吐いてくれたおかげで無事解決した。
SF
公開:20/03/28 18:26

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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