君へのお返し

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寒さと暖かさが混じる啓蟄の時期。
先月のバレンタインで妻から貰ったチョコレートの返しを買う為に、会社近くにある百貨店のとあるコーナーにいた。
「参ったな……」
慣れないプレゼント選びに手こずっていた。
ホワイトデーのお返しにふさわしいものが分からず、バイト終わりの娘の皐月に助けてもらわざるを得なかった。
「皐月……すまんな、手伝わせて」
「いいよ、別に……早くいこ」
娘に勧められた品々と向かい合い考えてた末に赤ワインを選んだ。
持ち帰ると、妻は驚いた顔で右手に持ったワインを指さした。
「どうしたの、貴方。ワイン買ってきて……」
「バレンタインのお返しだ。中々返せてなかったからな」
ぶっきらぼうに俺は発した。
その後、買ったばかりのワインのコルクを抜いた。
ゆっくりとワイングラスに注ぎ入れる。
「ありがとう……貴方」
グラス同士が合わさった音が二人を包み込んだ。
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公開:20/03/28 15:53
更新:20/03/28 16:21
#ホワイトデー #夫婦

いよ柑

最近始めたばかりの者です。
いよ柑と申します。
拙い言葉だらけですが、どうかご一読して頂けると幸いです。

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