ビー玉相撲

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 静かに光っている素足が踏んでいるのは敷き詰められたビー玉だ。表面張力?! なんてバ・チ・ガ・イな想像だけど、煌びやかな輝きがキワに盛り上がっているそこへ、土俵入りしたお相撲さん。ビー玉が動かないように大きな足で真上からしっかり踏みしめて。でもビー玉はまん丸だから、力士の足もとから、くるり! と逃れようとする。その連鎖で土俵際から溢れそうになるビー玉。どよめく観衆。
 静かに静かに。制限時間一杯まで、踵を返して何度も新しいビー玉を撒く力士。静まり返る場内にカチカチカッチンとビー玉の音だけがこだまする。
「はっけよい」
 行司は小さくて軽いから、敷き詰められたビー玉の上を舞うように軍配を返す。
「のこった!」
 一個でもビー玉を土俵外へこぼしたら負けだから、立会いも慎重でゆっくり。踏ん張れない土俵の真ん中で静かに抱き合う二人は、ワルツを踊るみたいにカチカチという音のなか、滝のような汗を流す。
ファンタジー
公開:20/03/27 10:18

新出既出20( 浜松市 )

新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。

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