現代版・白馬の王子様

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私は白馬の王子様だ。私の真実の愛のキスが、眠れる姫君を目覚めさせたことは有名な話で、聞いたことがあるだろう。昔話はさておき、私は私を待つ美しき姫君のために、日々良い行いを心がけている。

この前は、自販の底に眠っていた硬貨を、経済の流れにやさしく戻してあげた。ガタンと姿を変えたコーヒー缶に口づけを。やはり、早朝のコーヒーは目が覚める。最近は、経済の動向が思わしくないようだが、市場を流れる資金が潤沢になることで復興していくことだろう。眠れる自販底の美女を目覚めさせることは、良い行いなのだ。

姫君であれば良き男を求めるのは当然だ。しかし、私も今年で三十五になるが、一向に生きた姫君の声は聞こえない。今日も愛馬、白原チャリのメンテナンスをしているが、鳴き声はやけに元気がない。郵便局のバイクにかき消される。ちょうど外にいたので郵便物を直接受け取る。

予約しておいた新作のゲーム、今日から徹夜だ。
その他
公開:20/03/26 17:06
更新:20/03/26 17:35

蒼井 一

『日本語の美しさを体感したい、体現したい』
物語が好きです。よろしくお願いします。

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