ゆたんぼ

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ゆゆゆゆゆ
ゆ ゆ ゆ
ゆゆゆゆゆ   ←これを買ってきて
ゆ ゆ ゆ
ゆゆゆゆゆ
 なぞなぞ好きな妻からのメールだった。
 ははあ、なるほど。「ゆ」の田んぼってことは、湯たんぽだな! 右上に○がないから、このままだと「ゆたんぼ」だけど、書き忘れたんだろう。
 仕事から帰った私が湯たんぽを差し出すと、妻は笑顔を返した。
「あら、わからなかったのね、私のなぞなぞ」
「え、湯たんぽじゃないの? 右上に丸を書き忘れてただろ?」
「何言ってるの、あれで合ってるわよ。買ってきて欲しかったのは『ゆたんぼ』」
 妻はなにか、ドロドロとした物質を差し出した。それは赤黒く脈動していて、フジツボのようなものが表面についている。針金で括られた紙には『蝓痰毋』とあった。そのタグも、ドロドロに侵食されて黒く変色している。
「今日の夕飯よ」
 妻はそう言って、蝓痰毋に囓りついた。
 私は、滴った粘液を呆然と見つめた。
ミステリー・推理
公開:20/03/27 15:44
更新:20/03/28 22:01

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