終わりのとき

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「皆さん、ときが絶滅危惧種に認定されました」

「えっ、時間が。もうすぐ消えちゃうの。大変だわ」
私はその事実を記事にしようと丘の上の新聞社へ向かった。
その途中、道路を見ると二枚舌の狸とウグイス嬢が私に「よろしくお願いいたします」と連呼していた。
だから、私はすかさず「ケッコーです」と断った。
さらに先へ進むと団地妻と若いツバメが言い争いをしていた。
「ねえ、行かないで。今日だけでも泊って行ってよ」
「ごめん、子供たちが僕の帰りを待っているから。でも、安心してくれ。また、来年、ここへ戻って来るよ」
「信じていいのね」

(馬鹿な娘。サギに騙されているわ)

「デスク、スクープです。時間がもうすぐ亡くなるそうです」
「な、なんだって。急いで喪服を準備しなきゃ。香典はいくら包んだら良いのだろう」
「デスク、落ち着いて下さい。時間は仏教徒ではありません」
「なんだ、心配して損した」
公開:20/03/24 07:52
更新:20/03/24 07:53

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