終わりのとき

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目の前の海は茶色に染まっている。
河口から激しく土砂が流れ出しているせいだ。

私は不透明な海を、激しく波打つ河口を見ながらオールを漕いでいく。
何か思い出しそうになるけれど、必要がない気がする。
海は静かであたりには誰も見当たらない。

風が吹くと水面の小さな光がキラキラと踊りだし、舞い上がる。
しなやかに懐かしい匂いが漂う。
薄水色の空を見上げると、くっきりと轍のような雲がたなびいている。

ああ、やれることは全てやったんだな。
もう、濁った波打ち際はすでに遠く、身体が軽くなっていく。
その他
公開:20/03/24 07:05
スクー 茶色いうみ

まくの沙江

自分なりのショートショートができればいいと、投稿させてもらっています。
皆様の作品やコメントは、新しいアイディアが生まれて勉強になります!

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