よもぎみち

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散歩中、車道沿いの原っぱに、緑のふかふかが絨毯を広げたのを、ふと踏んでみたくなったのです。
いつものセメント側溝は、昼の陽気がぬくぬくと、そりゃあ渡り良い場所ですけれど、明日もその明日も、そのまた明日も逃げやしません。
緑のふかふかは、じきにぼうぼう伸びるか、人に刈られて土になる。今が踏み時と見た私は、側溝の細路をしゃなりと降り、自慢の白靴下を品良く上げて、ふかふかの中でもふかふかした、若い緑へ乗せました。

柔らかそうなふかふかの、中は思いの外ごわごわと、枯れ草も混じって足裏をつつきます。夜露の残りがじっとりと、靴下に染みて、おぉ冷たい。
おまけに何でしょう、青臭いわ土臭いわ……『もぐさ』とか言う、うちの主人が戸棚に置く、煙たい薬にそっくり。
ふかふかを逃げて側溝へ戻り、恐る恐るぺろりとやって、舌が苦さに痺れました。
これを好んで食べるなんて、人はよくよく悪食だ事。猫の私には解りません。
ファンタジー
公開:20/03/23 22:52
散歩道で見た シーズン2-②よもぎ もぐさ:お灸に使う、 乾燥したよもぎの葉の繊毛。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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