聖地ゲレンデ

日本で唯一の金のゲレンデ。そこが、いよいよシーズンを迎えた。私、レポーターが、取材する。客は全て、受験生とその家族。ここは、受験生の聖地だ。
恰好なのが目の前に一人。声を聞きたい。
「今年、受験。イエーイ」
「受験生がスキー？」
「ゲン担ぎ。スキー場にいて、私、滑らないの。滑らない。縁起良くね？」
「ここのゲレンデが、金のゲレンデ、関係ないねえ」
「全然、大あり。むしろ、そっちがメイン」
私の目的は、この後に続く理由だ。暗い時代に、検索で「金のゲレンデ」が熱い。その理由を、聞き出したい。そして、ゴールデンタイム・テレビ視聴者に、バブリーな気分を味わってほしい。
「金の摩擦係数〇．五。金って、雪の〇．二より、少し滑りにくいの。ゲン担ぎに、少し滑りにくい所って、最高じゃね？」
金に求めるものが、少し？

「以上、理由は地味な、金のゲレンデでした。スタジオにお返ししま～す」