時計のつぶやき

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夫が私に多額の借金を押し付け姿を消した。
「奥さん。この借金、しっかり払ってもらいましょか?」
男が借用書を突き出す。そんな金額、払えるわけがない。
そう言うと男は電卓を使い何かを計算し、それを私に見せつけた。
「とりあえず、ウチの事務所で仕事を数十年してもらいましょか。最低限の生活は保障します」
えっ?意外と良心的?
「奥さん…俺かて鬼ではないです。それに俺は奥さんの能力を買っているんですよ?俺の相棒、時間計算機、略して時計機も奥さんの能力を最大限に発揮する方法を模索してこの結果です」
私は男の条件を飲み、翌日から拍子抜けするほど普通の仕事を行った。
それは幸せな日々だった。
そしてある日、私は彼にプロポーズされた。私はそれを断った。彼、タイプじゃないの。
肩を落とす彼は時計機に「話が違うぞ!」と怒鳴った。
時計機は「計算が間違っていました」と呟くと画面にERRORと出し動かなくなった。
SF
公開:20/03/22 18:45

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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