仮装パーティ

誰もいない夜の舗道。ビルの地下階段を降りる。厚い扉を押して入る。限られたものしか入れない。
赤いカクテルを口にしたドラキュラがいい機嫌だ。マリリン・モンローが入口の風にあおられたスカートを手で押さえる。色っぽい太ももがあらわになった。
皿にグラスを乗せたウエイターのネズミ男は俺を無視して目の前を過ぎる。いきなり俺の両側から武蔵と小次郎が刀を抜いて声をあげる。あいだに挟まった俺は危ういところでジャンプして逃げた。大きな浴槽に着地。人魚と海賊が戯れている。俺は人魚の尾ひれを踏んで浴槽から飛び出すが誰も気にとめない。
テーブルのカクテルをぐっと飲む。そばで猫と羊がきゃあきゃあと俺の喉元をみて笑いだす。
「すごーい。見て見て！青い水がグラスから落ちて浮かんでいる」
飲み干したブルーハワイが俺の胃にチャプチャプと溜まっているのだ。
今年の仮装パーティは透明人間に扮したけれどイマイチ受けない夜だった。