ハギ・ボタと炎の営業

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 和菓子事業部には、あーまいおねーさん部長がいて魔法のような営業をするそうだ。そう聞いていた私達の前には、美形で辛辣な鬼軍曹。
「お彼岸です。ぼたもち拡販も正念場です! この中に、ぼたもちとおはぎを間違える間抜けはいないでしょうね。」
 その二つって別物だっけ? 部長は続ける。
「ただ売ればよいのではありません。買いたくなる環境作りが大切です!」
 そういうと杖を振った。周囲の草花がたちまち春を装う。魔法?「さあ、あなたたちも」
 私達ただの営業ですけど。そうは言わせない部長の目力。何か呪文があったはずだ。エク…パト…とか。
「エクレーア・パネトーネ!」
「貴方、洋菓子事業部の回し者ですか!」
 同僚がふっとばされる。自分の番だ。眼鏡を直す。
「枯れ木に花を咲かせましょう!」
 何とか花が咲くが、部長にどやされた。
「桜を咲かせるのは、ぼたもち売り切ったあと!」
 季節商戦は難しい。
青春
公開:20/03/23 11:53

techtech

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