ちょっとした勘違いで

「もう、信じられないわ。タカシ、私とはただの遊びだったの」
「ああ、そうだよ。君だって薄々は気付いていただろ」
「でも、あなた、私の両親の前で「娘さんの事は僕にお任せ下さい」って啖呵を切ったじゃない」
「君の両親を安心させるためさ。それに別の娘の両親にも同じ様に言っている」
「私を裏切ったの」
「裏切っていないさ。僕は僕を好きでいてくれる娘、皆のものさ。独り占めしようとする君の考えがそもそも間違っているのさ」
「私がいなくなった時、探してくれたじゃない」
「当たり前だろ。君の両親に託されているからね。何かあったら大変だろ」
「そうなんだ。私にあんなことをしておいて」
「何の事だ」
「しらばっくれないで。一緒に海辺へ行った時、いきなり私の顔に布を被せたじゃない」
「そりゃ、スイカ割りだからな。茜、もういい加減にしてくれ。先生、今、みんなとかくれんぼしているのが分からないのか。見つかるだろ」