夜の散歩
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夜の空には、月が銀の丸鏡のように浮かんでいた。
海の砂浜は、象牙色に照らし出されて、ゆるく弧を描いている。
一握の砂を風に流すと、細かな粒が淡く輝きながら、宵闇に吸い込まれていった。
夢を誘う潮騒は絶え間なく続き、時おり遠い自動車の駆動音がそこに加わる。
むごたらしく砂に埋もれた老骨のような流木を拾い上げる。
それは海からの風変わりな手紙だった。
遠い土地で芽吹き、逞しく生長し、やがて老衰し、嵐になぶられ、水へ流され朽ち果てて、樹はここに辿り着いたのだ。
その記憶が、干涸びた身の細部に刻まれている。
私は流木に火をつけ、火葬することにした。
火の粉は砂のように舞い、それよりも強く風の中へ、赤い熱を帯びた光を放ち、宵闇のさらに向こうへと飛んでいく。
今度こそ、仕事を、最後まで終わらせなければならない、と私は思った。
あと少しだけ、もう少しだけ、この海と語ったら。
海の砂浜は、象牙色に照らし出されて、ゆるく弧を描いている。
一握の砂を風に流すと、細かな粒が淡く輝きながら、宵闇に吸い込まれていった。
夢を誘う潮騒は絶え間なく続き、時おり遠い自動車の駆動音がそこに加わる。
むごたらしく砂に埋もれた老骨のような流木を拾い上げる。
それは海からの風変わりな手紙だった。
遠い土地で芽吹き、逞しく生長し、やがて老衰し、嵐になぶられ、水へ流され朽ち果てて、樹はここに辿り着いたのだ。
その記憶が、干涸びた身の細部に刻まれている。
私は流木に火をつけ、火葬することにした。
火の粉は砂のように舞い、それよりも強く風の中へ、赤い熱を帯びた光を放ち、宵闇のさらに向こうへと飛んでいく。
今度こそ、仕事を、最後まで終わらせなければならない、と私は思った。
あと少しだけ、もう少しだけ、この海と語ったら。
その他
公開:20/03/23 08:20
更新:20/03/23 08:21
更新:20/03/23 08:21
最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。
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