身近なホラー

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「……で、帰りが遅いと思っていたんだけど、夜遅くにやっとお兄さんが帰ってきたんだって。で、何日か妹さんはお兄さんと過ごしていたんだけど、ある日お兄さんが交通事故で亡くなったんだ。でも、その亡くなった日の日付がね、その夜遅く帰ってきた日になっていたんだって……」
 ヒロトの話を聞き、アヤカとトモエは「ひっ!」と声を出した。
「えー、でも結局作り話だろ?」
「まったく、コウタは面白くないなぁ」
 ヒロトは缶チューハイを開けて一気に半分ほど飲んだ。
「まあ、でもこうやって、時々家に集まって飲むのもいいもんだな。こんなクソまずくて安い酒でも、うまく感じるもんだ……あれ、アヤカ、どうした?」
 アヤカはさきほどから、顔色がわるい。怖い話を聞いた後にしても、トモエとは対照的だ。
「あのね、私もさっき缶チューハイ飲もうとしたんだけど、賞味期限が去年の今日だって……」
ホラー
公開:20/03/22 19:40
更新:20/03/23 12:32

フィーカス

短編掌編をよく書いています。
時々何かに入賞したりします(2回)。
わけのわからない世界観を生み出したいです。

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