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友人と訪れた町の煙突から白い煙が上がっていた。煙は真っ直ぐではなく様々な曲がり方をして、青空に立派な文字を書いていた。
だが細かった煙も段々と太くなり文字も読み難くなると、煙突の上に大きな箱が現れた。
「あれは煙突削りだ。あの真ん中の穴に煙突を入れて削れば、煙はまた細くなる」
友人の言葉通り、煙はまた細くなり文字もハッキリとしたが、煙突は短くなっていた。
「僕等の町でも煙突書きを始めるらしい。だからこの町から色々と教わるみたいだ」
「そうか、それは楽しみだ」

そして、到頭その日がやってきた。
煙突から出た最初の煙は赤色で、青空に"寿”と書いた。
「こりゃあ、めでたいなあ!」
そんな歓声と笑い声が飛び交うなか、一片の白雲が上空に現れた。それは例の町の方角から流れてきたもので、ハッキリとした字で"この煙使うべからず”と書かれていた。

今の所、黒い煙はこういった手紙以外に使い途は無いらしい。
ファンタジー
公開:20/03/20 21:42

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