金のゲレンデ

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夜。それは異様な光景だった。
私はそこへ、暗い石階段を上がり、五才の息子と足を踏み入れた。
佐渡神社の境内。お祭りが開かれている。息子は金魚すくいの店に前のめり。しかしコロナの影響で境内に人が誰もいない。出店の店番も…。息子に何かあってからでは遅い。
「帰ろ?」
言った直後の事だ。祠の裏から、全身金粉・全裸の成人男女がスススッと現れ、舞を始めた。
「金のベランダの人ですか?」
息子が、恐れを知らずに言う。(息子は今、図鑑で知った「保護色」がツボ。そして珍しい色の生き物を見つけては、どんな環境で保護色なのかを口にする)
バタン!
祠の扉が開いた。そこには神様が。
「おまえが言ったのは、金のベランダかい?それとも金のゲレンデかい?」
怖いけど、これって、あれだよね?息子も察したようだ。いいぞ息子。頑張って返事なさい!

帰宅後、ふつうの金魚を一匹、わが家はペットに迎えた。息子よ、なぜこの金?
ファンタジー
公開:20/03/21 21:38
更新:20/03/21 21:57
スクー 金のゲレンデ

久保田 人月

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