宇宙旅行から帰ってきた友人

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「孤独な宇宙旅行は楽しめたか?」
「はい。最高でした」
友人は満面の笑みを浮かべた。
良かった。友人は世界を股にかける営業マン。仕事に追われる日々は地球上に逃げ場がない。
そこで俺は宇宙旅行を勧めてやった。1年間、誰もいない宇宙空間でのんびりしてくるといい。飽きたら早く帰って来てもいい。
友人は俺が手配した宇宙旅行にすぐ出発した。
そして帰ってきたのがまさかの10年後だ。
すっかり忘れてたよ。地球と宇宙では時間の流れが違う。友人が宇宙で1年を過ごしている間、地球では10年経っていた。そりゃ俺は歳を取って、友人は若いはずだ。
「ところで貴方は私の友人で間違いないですか?」
おかしな事を聞く。当たり前だろう。
「良かった。私、あの人の代わりに地球という星に棲みたくてやってきました。こちらでは友人を頼れと言われています」
驚いた。
友人は宇宙で顔を売っていた。
新しい友人は俺の腕を買ってくれた。
SF
公開:20/03/21 19:07

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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