追憶

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僕がまだ7歳だった頃の夏休み、両親に連れられて小さな神社の夏祭りを訪れた。くじ引きや林檎飴、型抜き等の屋台に目を奪われた僕はいつの間にか両親とはぐれてしまった。

あてもなく参道を奥に進むが、両親は見つからない。不安と焦燥に駆られた僕は駆け出しそうになる足を抑えるのに必死だった。

その内に赤や黄色の屋台暖簾、提灯の絢爛な光が滲んで見え始め、涙が止めどなく溢れた。浴衣を来て談笑する人達が恨めしく、母親と手を繋ぐ子供をこっそりと睨み付けた。僕だけが周囲から取り残されたかの様な孤独感が僕の頭を支配していた。

初めて経験する庇護者のいない世界。独りになることをあれほどまでに恐れたのは後にも先にもあの時だけだ。

大人になり、家族もできた今では1人になりたいと思うこともある。しかしそれは、切れない縁がこの手の中に在るからだろう。

7歳になる息子の頭を撫でながら、そんなことを考えていた。
その他
公開:20/03/21 18:16

游人

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