求愛する砂糖

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隣のビンに詰まった白い角砂糖に熱い視線を送る。
とある家の台所の調味料棚の中で恋が始まろうとしていた。
黒砂糖は顔を真っ赤にする思いでこちらを見つめ返してくる。
一週間前のことだ。
家の主人がコーヒーのために常備している黒砂糖の俺はコーヒーブレイクを待ちわびていた。
家の主人が買い物から帰宅しゴソゴソと整理をする。おそらくもう休憩に入るだろう。
待っているとトンと自分たちのビンの横に同じ大きさの透明のビンが置かれた。中に詰まった黒砂糖と目が合った瞬間、体に稲妻が走った。
それから俺はコーヒーブレイクの度に彼女と一緒になれないかと思いを馳せるがいつもどちらか一方がコーヒーに使われ一向に会うことができない。
そしてある日。
主人の奇抜な発想のおかげで黒砂糖と俺を一緒にコーヒーへと運んでくれた。
熱いコーヒーの中で私たちは一緒になることができた。とろける最中にキスをした。とても甘い味がした。
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公開:20/03/21 14:31

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