マナーの悪い100円

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小学校の帰り道、コンビニに立ち寄った。
ジュースやお菓子を抱え込みレジで会計をしている間にポケットに手を入れ小銭を何枚か取り出そうと指を動かす。
しかし中からいつもの金切り声が響く。
「こら!そんなものを買うな!」
声の正体は紛れもなくポケットの中にある100円玉だ。
100円玉を取り出すや否や僕に言葉で畳み掛ける。
「こんな古い店でそんな貧相な食物買うな!舌がぶっ壊れちまうぞ!いいのか?こんな店だ。カビやら虫やらが混入してんじゃねえか?」
無論、このしゃべる100円玉の発言は店員も聞いており、お互い気持ちが萎え、商品を買わずに店を後にする。
いつもそうだ。
僕が買い物(ほぼお菓子)をしようとすると阻止をする。
家に着き、夕食が僕を迎える。
うまい!
最近間食を控えていた(全て邪魔が入った)から母の夕食が格別にうまい。
「もっと食え食え!」
ポケットの100円硬貨は家での食事は促してくる。
公開:20/03/21 13:57

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