眠り猫

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中国の故事で「春眠暁を覚えず」と言うけれど、暖かい春の季節になると朝が心地よくて、つい寝過ごしてしまうことがあるよね。
実はこれ、日本の場合、気候だけのせいじゃないんだよ。
栃木県に江戸幕府初代将軍の徳川家康を祀った日光東照宮があるよね。あそこにいる「眠り猫」も関係しているんだ。
眠り猫といえば、江戸時代初期の有名な彫刻職人、左甚五郎が全身全霊で取り組んだ入魂の作で知られているね。
そんな眠り猫だから魂が宿っていて、春の陽気に誘われて実体を残したまま、魂だけがふわりと抜けだして日光東照宮から散歩に出掛けるんだ。
急に睡魔が襲ったり、うとうと寝入ってしまうのは眠り猫のせいかもしれないね。
うららかな春の陽射しの下、公園で日光浴していたら、人知れずのんびり散歩中の眠り猫が通りかかるかもしれないよ。
ただ、眠り猫は、暑さ寒さ、梅雨が苦手なので、春が過ぎると散歩を終えて日光東照宮に戻ってくるんだ。
その他
公開:20/03/20 07:32
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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