『春の雪』 啓蟄むしろ若葉

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ふわふわと舞う蝶が空を見た。
「降りそうね。寒くならないといいけど」
休める場所を求めて木の葉を縫っていくと天道虫がいた。
「やあ蝶さん。あなたも避難してきたんだね」
「そうなの。みんな土からもぞもぞ出てくる季節も過ぎてこれからって時に……」
やがて降ってきた。だがそれは雨ではなかった。
「なんじゃこりゃあ⁉雪……だと⁉」
「ひいぃ⁉この世は冬に閉ざされてしまうの⁉」
そんな二匹に笑う声が聞こえた。見ると地面に亀がいた。
「君たち、お若いね。春の雪を見るのは初めてかい」
「春の雪⁉」
驚く二匹に亀は言う。
「だがワシもそう何度も見ない事。それだけ稀で、君らは考え方によってはラッキーだな」
「ラッキーって、いやでも、積もったりしたらご飯が食べられないし、凍えちゃうよっ」
「カメへんカメへん。なんとかなる」
「ちょーてきとうだ!だから亀は図太く生きるのか⁉」
「わぁ~んっ早く春になってぇ~っ」
ファンタジー
公開:20/03/19 19:52

とーしろさん

はじめまして~。
いつだって初心で、挑戦者のこころでぶっ込みたい素人モノ書きです。

沢山の方々に支えられ、刺激を与えられ、触発されて今日ももちょもちょ書いております。
一人だけでは生み出せないモノがある。
まだ見ぬステキな創造へ、ほんの少しずつでも進んでいきたい。

ショートショートというジャンルに触れる切っ掛けをくださった、
月の音色と大原さやかさんを敬愛し感謝しております。

興味をもって読んでくださる全ての方にも、ありがとうございます~^^

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