デイドリーム•デーゲーム

7
6

噂通り、そこにはもう球場は無く代わりに一軒の喫茶店があった。
「いらっしゃい、関さん」
入店すると店主が僕の名を言った。
「初対面ですよね?何で名前を…」
「他にも知ってます。あなたが少年野球界切っての内野手だった事も。どうぞテーブルに」
釈然としないまま席に着く。
「あれ?これ、ベンチのイスだ!」
「ええ、攻撃の時あなたが座って味方を鼓舞していた」
「そうか…解体した後こうして…」
「他に使わせてもらってるものがあります」
店主はそう言ってレコードをかけた。
「この曲…うちのチームの応援歌!レコードに…?」
目を閉じると、当時の記憶が甦った。
一塁で牽制球に素早く反応…二塁への盗塁を阻止…三遊間への打球に飛びつく…。
「不思議だ…まるでデーゲームでもしている気分だ…」
「それは、あなたが"守ってきたもの”を使った針で音を出してるからでしょう」
そう言って店主は、ダイヤモンド針を指差した。
ファンタジー
公開:20/03/19 17:19
更新:20/03/19 17:50

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容