棘豆

新種の豆が発見された。
それは「棘豆」というもので、名前の通り棘の生えた豆である。
豆の中でも小ぶりで、可食部もほんの少ししかない。
更に、食べるまでにも時間がかかる。硬く細かな棘が多いため、誤って口に入れてしまうと刺さってしまう。
ここまで聞くと、食べるメリットを感じない。時間はかかるし、下手をしたら怪我をする。

そんな棘豆だが、実は料理人に人気のある食材なのだ。
一つから取れる可食部も少ないのだが、一つ食べるとその満足感も絶大だという。
豆の中でも一番の香りが詰まっていて、それだけを食べても充分に美味い。この食材を使った料理はまた格別という。
しかし、匂いの強さとその下処理の難しさから扱える料理人が少ない。日本でも実際に取り扱っている店は多くないのだ。

メジャーな食材とは言えないが棘豆もいずれ、栗やウニのように棘が付いていても美味さを証明するだろう。