時計のつぶやき

2
3

雪時計が雪解けを、春の訪れを知らせる。
草木芽吹く春。花時計が時報を鳴らすと冬眠していた虫や動物達が地上に顔を出す。
温かな春を謳歌しようとのっそりと起き出しては花の蜜や果実片手に花見に興じる。

「夏が来たわ」
花時計は夏の訪れを察知すると暑さを遮る枝葉を広げる。それにより花は枯れてしまうが代わりに日時計が現れる。
暑い夏、海や山では老若男女が夏の魔物にそそのかされ、愛を求め活発に動く。チクタクチクタク動き回る。

「秋が来たな」
日時計は陰る夕陽になりを潜め、食欲の秋に腹時計の音が鳴る。
冬眠する為に多くの生き物が蓄えを始める。夏に使い過ぎた分、これからは控えようと人も反省する。少しは頭が冷えたようだ。

「もう冬か」
霜柱時計がコチコチと動き出す。腹時計を凍り付かせ生き物は眠る。
だがその氷もいつかは溶ける。それを知らせるのが雪時計だ。
あと少しで私も呟くだろう。「春の訪れだ」と。
公開:20/03/16 18:51

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容