時計のつぶやき

人間は今日も私に支配される。
時計である私を眺めては私の示した数字に従い、行動を起こす。愉快な生き物だ。
そんな人間以外は私にとって不愉快な生き物だ。
この家に住む犬を見てみろ。私がいくら数字を指し示しても見向きもしない。
犬にとって大切なのは食事の時間。飼い主から与えられる餌の時間だけ気にしている。
まあ、飼い主も私ありきで犬に餌をやっている。犬は不愉快ではあるがまだ許容範囲ではある。
この家に住む猫を見てみろ。私がいくら数字を指し示しても全く興味を持たない。大きな欠伸をかましては１日中寝ている。
餌の時間？猫にとって餌の時間は食べたい時だ。甘えたらすぐに餌をやるその姿勢。人間よ、そうしたところがダメだと思う。
そんな私が何より嫌うのは虫である。虫は私の体内に入り込むと歯車の動きを阻害してしまう。犬や猫より厄介な生き物である。
人間よ。私の中を掃除してくれないか？おいこらっ！無視するな！