香り返し
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「これはAさん、こっちBさんっすね」係員は手早く受取人に便りを渡していく。「現金と、電報っすね。あと」別の束を取り出し「お気持ち、って奴も届いてますが」
受取人は送られた花の香りを傍らに、一つ一つに目を通す。「沢山の方からお気持ちを頂いたのね。あら、この人は卒業以来ね」
係員は「全部に返事しなくてもOKじゃないすか? どうせお気持ちですし。言葉は送れませんし」
ちゃんとは伝わらないかもしれない。でも一瞬でも想ってくれた、想い出してくれた気持ちに、ありがとう、ご心配なく、と伝えたい。
「そっすか」係員は閻魔帳を見ながら「これなら、サポートの範囲内っすね。お花、デコ付きでお届け、ご注文ありあとあしたー」
「よろしく。では、いきます」河岸で手を振る係員の姿が小さくなる。
厚い雲の間から薄日が差す。穴の開いたような気持ちを抱えた人々のもとに、どこからか、旅立つ人が好きだった花の香り。
受取人は送られた花の香りを傍らに、一つ一つに目を通す。「沢山の方からお気持ちを頂いたのね。あら、この人は卒業以来ね」
係員は「全部に返事しなくてもOKじゃないすか? どうせお気持ちですし。言葉は送れませんし」
ちゃんとは伝わらないかもしれない。でも一瞬でも想ってくれた、想い出してくれた気持ちに、ありがとう、ご心配なく、と伝えたい。
「そっすか」係員は閻魔帳を見ながら「これなら、サポートの範囲内っすね。お花、デコ付きでお届け、ご注文ありあとあしたー」
「よろしく。では、いきます」河岸で手を振る係員の姿が小さくなる。
厚い雲の間から薄日が差す。穴の開いたような気持ちを抱えた人々のもとに、どこからか、旅立つ人が好きだった花の香り。
ファンタジー
公開:20/03/17 10:56
のんびり書いていこうと思います。
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