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『だ~か~らぁ!!言う通りにしてりゃ良いんだよ!チッ、愚図がよぉ』ブツッ。乱暴に通話が終了する。憧れの職に就けたは良いが、こじつけで部下を怒鳴る無能が居るとはな。今回もどうでもいいことで、久しぶりの休みに出勤だ。ハァ。大きな溜め息が漏れる。せめて、休みの日に6時間程度は寝たい。早めに出社するか。終電、間に合うかなあ。買い換えようと思って未だに使っているボロボロのスニーカーを履く。時間が無い。この職に就いてから、睡眠の貴重さを実感した。外は雪が降っている。夜の街に照らされ幻想的だ。だが俺には景色に浸る暇もない。終電には間に合った。職場は暗い。人を呼びつけてアイツは帰っている。もう何も湧かない。オフィスの入っているビルの前には警察がいた。その中心にアイツの死体。事情を聞く「この人が雪に足を滑らせてね」体が震えた。嬉しさでも、恐怖でもない。寒さを感じた。冬、だな。ようやく雪をゆっくりと眺めれた。
その他
公開:20/03/14 20:54
楽しんで書きたいです
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