幼き恋の物語

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今日みたいな春の寒い日は幼い頃の失恋を思い出す。雪の降った春の日、僕は一目惚れをした。
彼女は色白でふっくらとした体形。つんと澄ました態度が大人っぽいが頭にさした梅の花に遊び心を感じる。
「貴方が好きです!」
僕の突然の告白に彼女は何の反応も示さなかった。一瞥すら寄越さない。それでも僕は彼女に話しかけた。
翌日も僕は彼女に会いに行った。
昨日の寒さが嘘のように回復し、今日は春らしい暖かさとなった。正直、雪男の僕には辛い。
それでも僕は彼女に会いたかった。だけど彼女はそこにはいなかった。
水たまりの中、梅の花が浮かんでいる。
僕は知らなかった。彼女は人間が作った雪だるまだった。そりゃ返事をしてくれるわけもない。
でも僕は後悔していない。あの日、僕はちゃんと想いを口に出来た。
何も告げずにいたら後悔していただろう。
美人薄命って言葉は、あの雪だるまの彼女の為にある言葉だって今でも思っているよ。
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公開:20/03/14 19:24

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