迷作昔話#5(最終回) 裏山太郎

未来の未来、あるところに裏山太郎という男がいた。
太郎はある日、いじめられている水甕を見かけた。太郎が水甕を助けてやると、水甕は
「お礼にあなたをりゅうぐうにお連れしましょう。」
と言う。太郎が水甕の中に入ると、水甕は小惑星りゅうぐうにワープした。
娯楽施設として開発されたりゅうぐうで、太郎は存分に楽しんだ。そこでは十何代も前の総理大臣や歴史的実業家が、太郎が子供の時見た3D教材のCGと同じ姿で生活していた。
そこで数年弱過ごした頃、太郎は地球が恋しくなった。支配人のオート姫から
「絶対に開けてはならない」
というカプセルを貰い、太郎は地球へ帰った。
ところが既に地球では、何十年もの月日が過ぎていた。太郎は小学校で習った「ウラシマ効果」という言葉を思い出し、悲しみの余りカプセルを開けてしまった。中からは殺人ガスがあふれ、瞬く間に全世界を包んだ。

そしてまた、昔々の物語が生まれるのだった。