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「ついに君達ともお別れだね。思い返して見れば長いようで短い日々だった気がするよ」

{悲しまないで、主よ。これもまた私達の運命だったの。出会いがあれば、いずれ別れが来る。そんなに悲観しないで}

「分かっている。分かっているともさ。ただね、今の君達を見ているとなぜか涙が止まらなくなってしまうんだ。君達が路上で捨てられていた時の事をつい思い出してしまってね。私は君達を捨てた者たちと同じ残酷な事をしているのではないかと心配になるんだ。君達を拾った私がこんな事をして良いのかと」

{そんなことはないわ。あなたは私達に愛情を注いでくれたじゃない}

「ああ、確かにそうだ。でも、それは私の心にやましい所があったからかもしれない。云わば贖罪。罪滅ぼし」

{でも、あなたが私達を拾って育ててくれた事には違いないわ}

「ああ、そう言ってくれるのかい。ありがとう。自販機の下にいた君達を拾って良かった」
公開:20/03/15 22:13
更新:20/03/15 22:24

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