もうすぐ保育園

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「私、少しずつ離婚する」
「悟くんと?」
「違うよ」
「浩之さん?」
「違う」
「サムさんだ」
「ううん」
「ジョン?」
「それは犬」
「どの夫よ」
「もう全部」
「夫だらけだもんね」
「ほんと。雨後のたけのこ状態」
「赤井は夫食べないしね」
「おいしいの?」
「甘みと食感」
「へえ。出る夫は打ってきたけどもう限界。300はいる」
「抜かなきゃダメよ。夫は地下茎なんだから」
「最近は寝室にまで生えてくる」
「うわぁ。夫なんて20人いればいいよ。物静かなさ」
「青井はそれで足りてる?」
「夫も八分目」
私はすべての夫に離婚を告げて庭を焼いた。
翌春。根絶やしにしたはずの庭からまた新しい夫が「どもっ」と出た。とても明るい人だった。
私は生まれてはじめてその夫をかじりたいと思った。彼をかじり、彼だけを摘んで、私は鬼ヶ島へ帰った。
そして子ができた。名前は旬。頭にたけのこが生えた可愛いおにのこ。
公開:20/03/15 16:09

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