天使

「あなたは本当に天使ですか？」
「ああ、天使だ。見ればわかるだろ」
「本当に？」
「本当だ」
「本当に本当？」
「本当に本当だ」
「それじゃ、僕の願いを叶えてよ」
「それは出来ない」
「なんで？」
「願いは自分で叶える事に意味があるからさ」
「それじゃ、君は何が出来るの？」
「ちょっとしたラッキーを与えることが出来る。例えば、運転をしていたら目的地まで全て青信号で行けたとか、卵を割ってみたら黄身が２つだったとか」
「なんだ、大したことないじゃん」
「君は天使を何だと思っていたんだ」
「全裸の美女がいきなり目の前に現れて「あなたの願いを叶えましょう」と言い、僕の願いを叶える存在だけど」
「よく考えてみろ。そんな奴がいきなり目の前に現れたらまず警察に通報されるだろうが。「君、なんで少年を騙そうとしたの。それ詐欺だから。この書類に名前と住所、勤務先を書いて」ってね。天使も楽な仕事じゃないんだよ」