モグラ地下鉄株式会社

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モグラ地下鉄株式会社は、地盤の緩い浜辺の土壌を中心に「土竜号」と呼ばれる地中列車を運行している。
土竜号の路線は、モグラの巣を起点にトンネルが縦横無尽に延伸されている。
土竜号は、土を掘ることに慣れていない子供モグラの通学や年寄りモグラの移動手段として主に利用されている。
また、土竜号が走行中に発見したモグラの好物であるミミズを捕獲し、巣まで運ぶ貨物列車も兼ねている。
さらに、自然災害や人為的要因で路線の一部が塞がれた際は、土竜号がレスキュートレインとなっていち早く駆けつけ、トンネルの復旧にあたる。
モグラ地下鉄株式会社の社長がモグラ国王ということもあり、王家が地底旅行に出かける際、王室列車も走らせる。そのため、土竜号が大深度を進めるよう、モグラ界屈指の名門校でモグラ国王の母校でもある土竜鉱山大学と連携し、ドリルに使う硬い鉱物の探査を実施している。
こうして日々、土竜号の改良に余念がない。
ファンタジー
公開:20/03/14 07:42
更新:20/03/14 08:02
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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